借地権、正当事由と立退き料

2014年06月21日

正当事由とは、旧借地法、借家法上においても「自ら使用することを必要とする場合その他正当の事由ある場合」と規定があり、新借地借家法でも双方の 事情を比較考量するほか、「財産上の給付」も評価の対象としております。土地所有者の事情がかりでなく、借主の事情として投下資本の回収、借主の移転費 用、営業損失等、或いは公益、社会上の諸般の事情をも含めて総合判断するのです。

最高裁判例も従来より「立退料の提供は正当事由の有力な事情」とし、その判断要素としておりますから裁判事例をあたってみるとは必要です。

以下、裁判例です。

 

1、自己使用に関する裁判例

立退き料:200万円

貸主が賃貸から10数年後転勤から戻ってアパート暮らし。借主には転居する経済的能力あり。借主の移転先を探す仲介料や敷金、引っ越し代などの立退き料で正当事由が補完されると認定した(借家)。

 

2、自己使用が「営業目的」に関する裁判例

正当事由なし

貸主は隣接地に居住。本件土地に養子を居住させて老後の面倒をみさせるため借地権買取価格での立退き料2504万円を提供する旨申出たが借地人は倉庫、資材置き場として使用する必要があるとして異議申出する。正当事由の補完を認めないと認定した(借地)。

 

3、建物の老朽化に関する裁判例

立退き料:8億円

建物が老朽化して耐震性で危険。補強にも高額の費用が要する状況にあるが、場所が銀座で、土地の高度利用、有効活用が望ましいとして高額の立退き料を補完事由として正当事由を認めた。(借家)。

 

正当事由なし

賃貸人は、現行家賃の4年以上の家賃に相当する金額の立退き料を支払うと申し出たが、老朽化については、貸主のせいであるとして正当事由認められなかった(借家)。判決、賃貸人は老朽化に至るまでに恒常的な修繕などをしていない。故に、建築後30年以上を経過している

ものの、建物が老朽化したとはいえず、今後数年の使用に耐えうるものと認定した。

 

※老朽化による裁判例には、建物の建て替えが必要であるとして、隣接ビルとの併合の事例、修繕に課題費用がかかることを理由とする事例など、立退き料の提供を補完事由として正当事由がみとめられた事例は多数あります。

 

借地権は、不動産のなかでもかなり特殊な性質をもっていますが、当社は、立退き費用、承諾費用等も資金使途に限りはございません。

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